剣道経験のあるお客様を施術して感じたこと【KIKUTOCO】


剣道を行っている男性の身体

身体に残るスポーツの特徴

マッサージの仕事をしていると、お客様の身体に触れたときに、「何かスポーツをされているのかな?」と感じることがあります。

筋肉のつき方や左右差、張りを感じる場所など、身体にはこれまで繰り返してきた動作の特徴が現れることがあるからです。

今回は、KIKUTOCOの男性セラピストが担当した、身体の大きな男性のお客様のお話です。

最初に身体に触れたときの印象は、とにかく全身がしっかりしていること。

筋肉量もあり、肩まわりから腕にかけてもかなり張りを感じる身体だったそうです。

施術を進めながら筋肉の状態を確認していた男性セラピストが、途中でふと、

「もしかして、以前剣道か何かされていましたか?」

とお聞きしました。

するとお客様から、

「昔、剣道をやっていました」

との答え。

もちろん身体に触れただけで過去のスポーツを必ず判断できるわけではありません。それでも、身体の特徴から考えたことがお客様の経験と一致したことで、その後は身体についていろいろなお話をしながら施術を進めることができました。

なぜ剣道経験を感じたのか

剣道というと、竹刀を振る「腕のスポーツ」という印象を持つ方もいるかもしれません。

実際には、足から踏み込み、下半身、体幹、上肢へと全身を連動させて打突する競技です。

一方で、竹刀を握り、構え、瞬間的に打突する動作を何度も繰り返すため、手・前腕・肘・肩など上肢にも特徴的な負荷がかかります。

剣道経験者と未経験者を比較した研究でも、経験者は上肢の周径、筋力、関節の柔軟性などに違いが認められたと報告されています。

そのため長く競技を続けていた方の場合、現在は剣道から離れていても、腕や肩まわりにその頃の身体的特徴を感じることがあります。

剣道と「握る力」の関係

剣道経験者の身体を考えるうえで興味深いのが、握力です。

竹刀はただ強く握り続ければよいものではなく、構えから打突までの一連の動作の中で両手を使います。

実際に竹刀へ圧力センサーを取り付けて打突時の握圧を測定した研究では、面・小手・胴への打突のいずれでも、全体として左手の握圧が右手より有意に高かったことが報告されています。

また、剣道を行う若年選手とサッカー選手を比較した研究では、剣道選手の方が握力が高いという結果も報告されています。

竹刀を長期間扱う競技経験と、手から前腕にかけての発達には関係があることがうかがえます。

前腕だけではなく、肘や肩にも

剣道で使われるのは手や前腕だけではありません。

竹刀を構えて振り上げ、打突する動作には、肘や肩も関わります。

成人男性の剣道経験者を調査した研究では、右肘の伸展制限や後方の痛みなどが確認されたという報告もあります。

また、剣道の傷害を調査した別の研究では、足・足首に続いて、手・手首、肘・前腕も傷害が多く報告された部位でした。

もちろん、これは「剣道をすると必ず肘や腕を痛める」という意味ではありません。

ただ、長期間同じ競技を続けることで、競技特有の動作を何千回、何万回と繰り返します。その積み重ねが身体の使い方や筋肉の発達に影響することは十分に考えられます。

剣道は腕だけではなく、下半身も使う

そして、施術するときに忘れてはいけないのが下半身です。

剣道の打突は竹刀だけを振っているわけではありません。

相手との間合いから一気に踏み込み、身体を前方へ運びながら打突します。

剣道の打突動作を生体力学的に調べた研究でも、足関節・膝関節・股関節など下肢の働きが分析されており、打突が全身運動であることが分かります。

ですから、剣道経験のある方だからといって「腕が張っていますね」で終わらせるのではなく、肩、背中、腰、臀部、脚まで含めて身体全体を確認していくことが大切だと考えています。

「どうして分かったんですか?」

今回のお客様も、剣道経験についてお聞きしたことで少し驚かれていました。

「どうして分かったんですか?」

そんな会話から、ご自身が以前どのように身体を使っていたのかという話にもつながっていきました。

施術では、強く押せばよいというわけではありません。

身体が大きく筋肉量のある方であっても、筋肉の状態を確認しながら、部位に合わせて圧やアプローチを調整していきます。

今回担当した男性セラピストは資格を持ち、身体について学んできたスタッフです。

お客様の身体を見ながら一つひとつ施術を進め、最初は少し緊張されていたお客様とも、施術が進むにつれて自然と会話が増えていったそうです。

そしてありがたいことに、その後もリピートしていただいています。

身体を知ることも、施術の一部だと思っています

私たちが大切にしているのは、「凝っているところをただ揉む」だけの施術ではありません。

デスクワークなのか、立ち仕事なのか。

昔スポーツをしていたのか、現在もトレーニングをしているのか。

右手をよく使うのか、長時間同じ姿勢でいることが多いのか。

そうした生活や身体の使い方を伺いながら、その日の状態に合わせて施術することを大切にしています。

今回のように、過去のスポーツ経験が身体の特徴を考えるヒントになることもあります。

剣道に限らず、野球、ゴルフ、テニス、サッカー、ランニングなど、それぞれの競技で身体の使い方は違います。

「昔スポーツをしていたけれど、最近身体が硬くなった気がする」

「身体が大きいので、しっかり施術してもらいたい」

そんな方も、ご予約の際や施術前にぜひお話しください。

KIKUTOCOでは、その方の身体や生活背景にも目を向けながら、一人ひとりに合わせたリラクゼーションをご提供しています。


参考・出典

・American Journal of Human Biology「Handgrip strength of young athletes differs based on the type of sport played and age」

・Sensors「Pressure Sensors for Measuring the Grip Pressure during Kendo Attacks」

・武道学研究「剣道の上肢作用による身体への影響」

・Journal of Physical Therapy Science「The study of elbow injury in male adult kendo players」

※本記事で紹介している研究結果は、剣道経験者すべてに同じ身体的特徴が現れることを示すものではありません。また、KIKUTOCOの施術は疾病の診断・治療を目的とするものではなく、リラクゼーションを目的として提供しています。